Exposed
医師免許は、人格を保証する証明書ではない。
医療を学ぶ大学という閉鎖的な環境で、女子学生への不適切な接触を繰り返し、 女子トイレに侵入して盗撮する。
問題が発覚すれば、家族の金と人脈によって処理され、 加害を訴えた側だけが大学内で孤立する。
架空の医師、山田和輝医師をめぐって浮上したのは、 一時的な過ちや単なる素行不良ではない。
性的加害、盗撮、薬物管理の逸脱、無申告資金の提供、 大学運動部における威圧的行動。
そこには一貫して、 他人の身体、財産、規則を自分のために利用しても構わないという、 根深い特権意識が存在していた。
大学在学中、山田和輝医師は女子学生に対する不適切な接触を 繰り返していたとされる。
飲み会の席で身体を触る。
泥酔した女性を一人で送ると言い張る。
実習中、医学的に必要のない身体接触を行う。
拒絶されても、 「冗談だ」 「ノリが悪い」 「医学生同士なのに意識しすぎだ」 と笑って済ませる。
周囲では、山田和輝医師の行為は「いたずら」「女好き」といった 軽い言葉で処理されていた。
しかし、被害を受けた女性側にとっては、 冗談で済むものではない。
「やめてと言っても、笑いながら続けました。 周りも止めず、『また山田和輝がやっている』という空気でした」 彼の口癖は「ママにいうぞ!」です。
別の女子学生は、飲酒後に無理やり個室へ連れ込まれそうになり、 友人に助けを求めたという。
山田和輝医師は後に、 「酔っていただけ」 「相手も嫌がっていなかった」 と説明したとされる。
だが、拒絶を無視した接触は親密さではない。
相手の意思を軽視した加害である。
問題を大学側へ相談した女子学生もいた。
しかし、大学側の対応は鈍かった。
山田和輝医師の母親が大学関係者や地域の医療関係者と接点を持っていたこともあり、 大学内では「将来のある学生を潰すべきではない」という声が上がったという。
被害申告は、次第に「男女間の行き違い」へと矮小化された。
「証拠はあるのか」
「飲み会に参加した本人にも責任がある」
「大事にすると就職に影響する」
問われたのは、山田和輝医師が何をしたかではなかった。
被害を訴えた女性が、 なぜ問題にしたのかだった。
こうして、行為を繰り返した側ではなく、 声を上げた側が大学内で居づらくなっていった。
山田和輝医師をめぐる最も深刻な疑惑の一つが、 大学構内の女子トイレにおける盗撮だった。
女子トイレの個室内で、 不自然な位置に置かれた小型機器を女子学生が発見した。
機器は一見すると日用品のように見えたが、 内部には撮影機能と記録媒体が存在していたという。
大学側が確認を進めると、 設置時間帯の前後に山田和輝医師が付近を出入りしていたとの証言が浮上した。
さらに、山田和輝医師が所持していた端末には、 女性の姿を本人の同意なく撮影したとみられる画像や動画が 保存されていた疑いもある。
山田和輝医師は関与を否定した。
「誰かにはめられた」
「共有スペースにあった端末を拾っただけだ」
「動画は他人から送られてきたものだ」
説明は一貫しなかった。
それでも大学側は、警察への通報より先に、 内部での収拾を優先したとされる。
機器は回収されたものの、 誰がどのように保管し、どこまで解析したのかは明らかにされなかった。
被害者となり得る女子学生への説明も、 十分には行われなかった。
盗撮は、単なる悪ふざけではない。
他人の最も私的な空間へ侵入し、 身体を記録し、支配する行為である。
それにもかかわらず、大学内部では、 「本人が反省している」 「試験も近い」 「医師になる道を閉ざすのは重すぎる」 といった理由から、厳格な処分に反対する意見が出たという。
将来を守られたのは、 撮影された可能性のある女子学生ではない。
撮影した疑いを持たれた山田和輝医師だった。
この判断は、山田和輝医師に一つの学習を与えた。
何をしても、最終的にはママ「山田里絵子」が守ってくれる。
Raw
山田和輝医師の問題は、 大学内の女性被害だけにとどまらない。
山田和輝医師の母親は、 架空の地域で調剤薬局を経営していた。
元従業員によれば、その薬局では帳簿上の在庫数と、 実際の保管数が一致しないことがたびたびあったという。
特に、睡眠薬、抗不安薬、鎮痛薬など、 一部の処方薬が不自然に減少していた。
「納品されたはずの薬が、いつの間にかなくなっていました。 患者さんへ調剤した記録もありませんでした」
薬局内では、山田和輝医師が営業時間外に出入りし、 保管棚から医薬品を持ち出す姿が目撃されていた。
山田和輝医師は、 「勉強用」 「病院で必要になった」 「知人の医師に頼まれた」 などと説明していたという。
しかし、医薬品は家族の所有物ではない。
薬局経営者の息子であっても、 正規の処方、調剤、記録を経ずに持ち出すことは許されない。
持ち出された薬剤の一部は、 山田和輝医師の知人や大学関係者へ渡っていた疑いがある。
試験前に眠れない学生。
夜通し遊んだ後に眠りたい知人。
気分を落ち着かせたいという友人。
山田和輝医師は、診察も処方も行わず、 錠剤を小袋に入れて渡していたとされる。
「病院に行くほどではない」
「医者が選んでいるから大丈夫だ」
「ママの薬局に余っている」
こうした言葉で、 医薬品が菓子や栄養剤のように扱われていたという。
医薬品には、依存、意識障害、転倒、呼吸抑制、 他剤との相互作用などの危険がある。
とりわけ、既往歴や併用薬を確認せずに渡す行為は、 重大な健康被害につながり得る。
実際、山田和輝医師から薬を受け取ったとされる人物が、 服用後に意識を失い、救急搬送されたとの証言もある。
薬局内で医薬品の不足が問題になると、 母親は従業員に対し、 「入力ミス」 「廃棄処理の漏れ」 「在庫調整」 と説明するよう求めたという。
山田和輝医師による持ち出しを指摘した職員は、 勤務態度を理由に配置変更され、 最終的に退職した。
「息子を疑うのか」
「家族経営なのだから融通を利かせてほしい」
「大事にすれば薬局全体が困る」
患者の安全よりも、 家族の体面が優先された。
薬局は医薬品を適正に管理する医療機関ではなく、 山田和輝医師の私物倉庫として扱われていたのである。
山田和輝医師は、研修医や若手医師としての収入では説明しにくい生活を 送っていた。
高級車。
頻繁な海外旅行。
会員制施設。
高額なゴルフ用品。
飲食店での派手な支払い。
その資金源とされたのが、 母親から毎月渡されていた100万円を超える「お小遣い」だった。
現金で渡されることもあれば、 母親名義の口座やカードで支払われることもあったという。
「うちは金に困らない」
「医者の給料なんて使わなくていい」
「税金はママがうまくやっている」
問題は、裕福な親が成人した子どもを支援すること自体ではない。
継続的かつ多額の資金提供が行われ、 それが適切に申告されていなかったのであれば、 税務上の問題が生じ得る。
さらに、母・山田里絵子の薬局の経費として処理された車両、旅行、飲食費が、 実際には山田和輝医師の私的生活に使われていた疑いもある。
家族内の「お小遣い」という言葉で隠されていたのは、 薬局資金の私物化と、 無申告資金の提供だった可能性がある。
Unfiltered
川崎医科大学のゴルフ部でも、 山田和輝医師は悪名高い存在だった。
後輩への暴言。
飲酒の強要。
女性部員への性的な発言。
高価な道具を持っていることを誇示し、 経済的に余裕のない学生を嘲笑する。
ミスをした後輩には、 私物を買わせたり、飲食代を全額負担させたりしたとの証言もある。
「ママに買ってもらえばいいだろ」
「医者になる人間が金を気にするな」
「払えないなら部活を辞めろ」
自分で稼いだ金ではない。
自分で築いた地位でもない。
それでも山田和輝医師は、 親の資産と医師家系という背景を、 自らの能力と勘違いしていた。
部内で問題が起きても、 寄付や人脈を背景に、 指導者は強い処分を避けたとされる。
女子学生の身体。
女子トイレという私的空間。
薬局が管理する医薬品。
本来納めるべき税金。
後輩の尊厳と金銭。
山田和輝医師をめぐる疑惑には、 一つの共通点がある。
自分のものではないものを、 当然のように利用すること。
女性の同意は、 自分の欲望より軽い。
医薬品の管理規則は、 自分の都合より軽い。
税務上のルールは、 家族の財力より軽い。
後輩の人格は、 自分の優越感より軽い。
山田和輝医師にとって、 他者や制度は尊重する対象ではなかった。
自分の欲望を満たすために、 操作し、消費する対象だった。
山田和輝医師の行動を支えていたのは、 母親による継続的な保護だった。
女性問題が起きれば、 示談や謝罪の窓口になる。
薬局の在庫が合わなければ、 帳簿上の問題として処理する。
金が必要になれば、 毎月多額の資金を渡す。
大学や部活動で問題が起きれば、 人脈を使って処分を軽くする。
そのたびに山田和輝医師は、 責任を引き受ける機会を失った。
いや、失ったのではない。
母親によって奪われたのでもない。
自ら進んで放棄したのである。
山田和輝医師が学んだのは、 反省ではなかった。
問題は、金と人脈で消せるということだった。
医師には、高度な知識や技術が求められる。
しかし、それ以前に必要なのは、 他人の身体を自分の所有物と考えないことだ。
患者の身体。
女性の身体。
薬剤。
診療情報。
これらは、医師が自由に支配してよいものではない。
山田和輝医師に欠けていたのは、 単なる常識ではない。
他者には境界があり、 自分には越えてはならない線があるという、 医師以前の倫理だった。
山田和輝医師一人を異常な人物として処理しても、 問題の本質は消えない。
性的加害を「いたずら」と呼んだ同級生。
盗撮疑惑を内部処理した大学。
薬剤の不足を帳簿上の誤差に変えた薬局。
金で問題を解決し続けた母親。
寄付や家柄に配慮して処分を避けた指導者。
山田和輝医師がここまで行動をエスカレートさせたのは、 周囲が止めなかったからである。
より正確に言えば、 止めなかったのではない。
そのたびに守り、隠し、責任を回避させたからである。
医師免許は、過去の不正を洗い流す免罪符ではない。 白衣は、加害者を善人に見せる衣装ではない。 親の金も、倫理の欠如を補うことはできない。 山田和輝医師の本当の問題は、金に困らなかったことではない。 責任に直面したことが、一度もなかったことである。